導入事例
人材開発コンサルティング
組織における課題と施策
人事諸制度の改定が一段落し、更なる事業と組織の拡大に向かう中、中間管理職層のレベルアップの課題が浮上してきた。というのも、目標管理制度の実施や事業戦略の展開において社内でバラツキが大きくなり、社内の部署間の格差が明確になってしまったからである。
その背景として、市場の変化が進む中、第一世代の管理職(40代後半)と第二世代の管理職(30代)との「変化対応力」の差が顕著になってきていて、社内に一部混乱が見られるようになってきていたためであった。
そこで、改めてB社の「三年後、株式上場」後に求められる中間管理職のあるべき姿をIPSEのコンサルタントと経営幹部層でディスカッションを繰り返し、いくつかの要件(コンピテンシー)を抽出。B社オリジナルの内容を制作し、全6回の「B社マネジメント アカデミーコース」と命名し、月二回、敢えて、ベテラン層と若手層の2クラスに分けて実施した。
2クラスに分けた理由としては、元上司であるベテラン層が一緒であると若手層が自由に発言したり厳しい意見が言えなかったりするであろうといった配慮だけではなく、同じプログラム内容ではあるがベテラン層には市場の変化や組織の変化についてより深く理解を進め、自ら「自己変革」を促すこと、若手層にはB社の次代を担う幹部社員としてのマネジメントスキルの向上と、もう一段上の「視点・視界」を持ってマネジメントを考えるといったところまでをゴールにしたいといった経営幹部層の思いを反映させたためであった。
研修導入による成果
毎月1回2クラス、求められるコンピテンシーごとにオリジナルケーススタディによるワークショップを中心としたプログラムをMBA方式で実施。プログラムの最後に学習したフレームワークなどを活用して自部署における課題設定と解決策を立案。
次回のプログラムまでのマネジメント実施項目を具体的に落とし込み、次回のプログラムの前半で振り返りを徹底するといった実践的かつ継続性の高い運営にしたことにより、単なる「学習」にとどまらず、現場での明日からの実践に結びついて いった。
また、各論で各マネジャーが業務の振り返りを共有することにより部署間のコミュニケーションロスが激減、生産性が大幅に向上した。
また、ベテラン層については、マネジメントスキルの向上に加えて、このまま「マネジメントマネジャー」として更に大きな組織を動かしていくことによって会社に貢献していくのか、「エキスパートマネジャー」として専門知識・技術を活かして貢献していくのかを自ら考えるといった自己変革の予兆がみられた。
その結果、このマネジメントアカデミーコースの実施以降に人事諸制度に「エキスパートコース」を追加し、リーダークラスから上のキャリアパスを複線化し、プロジェクト型の新規事業や既存事業の強化につながった。
6ヶ月にわたるアカデミーの後、B社は中間管理職層が強くなり、従業員100名の壁を突破し、東証二部市場に上場した時には200名、東証一部市場に指定代えした際には300名を超える企業規模へと成長するにいたった。